「2027年からエアコンが高くなるらしい」 最近こんな話を聞いたことはありませんか?
これがいわゆる「エアコン2027年問題」です。
単なる値上げの話と思われがちですが、家電業界のプロによると――本当に注意すべきなのは「サイズ」と「設置問題」だと言います。
今回は、「業界のプロが語る裏側トーク」シリーズの第3弾として、エアコン2027年問題について、プロの知見をもとに分かりやすく解説します。
語ってくれた方は、家電業界で長年、修理やメンテナンスに携わってきたエンジニアの某氏。家電について知らないことはない、伝説的な家電のプロです。他の記事ではあまり語られていない、実話を交えたリアルな話を余すことなく紹介します。
エアコン2027年問題とは?
さて、近年「エアコンの2027年問題」という言葉が話題になることがあります。これは正式な制度名称ではありませんが、家庭用エアコンに対して新たな厳しい省エネ基準が設定されることを背景に生まれた表現です。
トップランナー制度による省エネ基準の強化
日本では、家電製品の省エネ性能を向上させるために、経済産業省が「トップランナー制度」という制度を導入しています。この制度は、市場に存在する製品の中で最も省エネ性能が優れている製品を基準とし、その性能を将来の目標値として設定する仕組みです。メーカーはこの目標を達成するよう製品開発を行うことが求められます。
家庭用エアコンについては、新たな省エネ基準の目標設定年度が2027年度とされています。
これにより、各メーカーはより高い省エネ性能を実現する製品開発を進めています。
【参照元】
▼経済産業省:トップランナー制度
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/toprunner/
▼家庭用エアコンの省エネ基準(目標年度など)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/toprunner/target.html
想定される影響
省エネ性能の向上は、電気代削減や環境負荷低減というメリットがある一方で、次のような影響が生じる可能性があります。
- 高性能化による製品価格の上昇
- 製品構造の複雑化による修理難易度の上昇
- 室外機の大型化・重量増加
- 旧モデルの販売縮小や部品供給の変化
こうした動きや影響を総じて「エアコン2027年問題」と呼んでいます。
価格が上がる可能性
あまり意識されていないかもしれませんが、そもそも現在のエアコン価格は、15〜20年前と比べて大幅に上昇しています。その理由は、言わずもがな、以下の通りです。
- 省エネ性能の向上
- 高性能部品の採用
- 制御機能の高度化
そして2027年基準では、さらに効率を上げる必要があり、
製造コストが上がる → 販売価格も上昇する
という流れが避けられないと見られています。そして業界では、
新品の販売価格は30万円以上が前提となる
という見方も出ています。
実はもっと深刻…エアコンが「大きく・重く」なる
性能の向上による価格上昇は避けられず、ご家庭の収支に影響を与えることになります。しかしながら、実のところ家電のプロが価格上昇以上に懸念しているのは、
製品本体の大型化
です。省エネ性能を高めるためには、
・熱交換器を大型化
・コンプレッサーの高性能化
・補助機構の追加
などが必要になります。その結果、室外機の大型化 & 重量の増加という変化が起こります。ちなみに、現在の基準でも大型モデルでは、室外機が60kg以上になっているものもあります。
設置できない住宅が増える
製品の大型化と重量増加により、次の問題が発生する可能性があります。
いままでの設置スペースに置けない
室外機は単純に置けば良いわけではなく、次の点を考慮して適切な設置場所を判断します。
・床の強度
・設置スペース
・搬入経路
想定以上にサイズや重量が増えると、買い替えた際に、これまでエアコンを置いていた場所に設置できなくなる家庭が増える可能性がある、と家電のプロは語ります。特に、都市部での住宅の販売価格も高騰し続け、数年前よりも居住エリアが狭くなっている傾向があります。設置場所に困るケースが多発するかもしれません。
壁が耐えられないケースも
ちなみに、現在の大型モデルでもすでに現場では、エアコン設置後に、取り付けた壁面が重量に耐えられず、壁ごと落下といった事故が実際に報告されています。
今後は「住宅側の対応」が必要になる可能性
もしエアコン本体が大型化していくと、住宅側で次のような対応が必要になる可能性があります。
・壁補強工事
・設置場所の変更
・建物設計の見直し
つまり将来的には、エアコン交換が単なる買い替えではなくリフォームや設備工事レベルになるかもしれません。そうした場合には、取り付ける業者にもこれまで以上に住宅の専門的な知識が不可欠になるため、設置業者選びにも注意が必要になってくることが想定されます。
寒冷地仕様エアコンはさらに重量が増える
また、別記事でも紹介した「暖房に特化したエアコン(寒冷地仕様)」は、通常モデルよりも2~3割重い場合があります。重い理由は、通常の機能に加えて以下のような機能を有しているためです。
- 室外機ヒーター
- 霜対策構造
- 補助暖房機構
暖房性能は非常に優れていますが、2027年以降の設置条件はさらにシビアになるかもしれません。なお、暖房に特化したエアコンについては、以下の記事で詳しく解説しています。
エアコン2027年問題で本当に注意すべきポイント
これまでの話をまとめると、「エアコン2027年問題」におけるポイントは次の3点です。
- 価格上昇の可能性
省エネ基準対応により本体価格が上がることが想定されます。 - エアコン本体の大型化
性能向上の代償として重量・サイズが増加します。 - 設置できないリスク
住宅構造によっては同じ設置場所での入れ替えが困難になり、住宅側に対応が必要になる可能性があります。
エアコン選びで意識したいポイント
新しい基準で製造された製品が流通してみないことには確実なことは言えませんが、2027年に向けては、単に最新モデルを選ぶのではなく、次の視点で検討することが大切です。
- 製品サイズと設置スペースの適合性
- 住宅の耐荷重や壁構造との適合性
- 修理やメンテナンス性
- ランニングコストと初期費用のバランス
- 設置業者の技術や住宅に関する知識
エアコンは「家電」でありながら、実際のところは住宅設備に近い存在であると言えます。そして、省エネ基準の強化は、エアコンの性能向上につながる重要な取り組みです。一方で、住宅環境や利用スタイルに応じた適切な製品選びが、これまで以上に重要になると考えられています。
音声でも解説しています
今回の内容はPodcastでも詳しく紹介しています。家電のプロのリアルな解説をぜひ音声でも聴いてみてください。
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今後、エアコンはこれまで以上に長期的な使用を前提として購入することが増えると思います。エアコンを長く快適に使うためには、製品情報や保証の情報、メンテナンス履歴等を記録しておくことも重要です。情報をしっかり把握しておくことで、以下のようなメリットがあります。
- 故障予防につながる
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